時代の変化のなかにも変えない努力を 京の伝統を未来に受け継ぐ

京都聖護院八ッ橋本店

“京都といえば八ッ橋”。修学旅行や出張みやげに買い求めたことを、懐かしく思い出す方も多いのでは。何代も何代も愛され続けてきた、京の味。歴史が薫る閑静な左京区・聖護院の一郭で、330年以上もの間、変わらぬ美味しさを守り継いできた「聖護院八ッ橋総本店」の暖簾をくぐる―

“変えない努力”が持つ意味

聖護院八ッ橋総本店がテーマに掲げるのは、『味は伝統』。いつの時代も一重に、「美味しい」とお客様を笑顔にする“味”を追求する。

四季を伝える包装紙をはじめ、桜や栗など季節の餡を包んだ生八ッ橋「聖・旬菓」シリーズなどを通して、風雅とともに八ッ橋の美味しさを届けたいー。そうした伝統・文化を継続するには“変えない努力”が必要だと語るのは、総務部企画室 小鯛美香さん(※鯛は{{{𩵋}}}へん)だ。

「変えないと言っても、昔と同じ堅さや甘さを守るということではありません。時代とともに改良を重ね進化させながら、当店を愛してくださる方々の期待を裏切らず、『以前と違う』と戸惑わせることのないよう、変わらぬ美味しさをお届けし続けることを重視しているのです」。

そのため、商品開発の際には気の遠くなるような時間と手間をかけるという。素材選びから配合まで何百通り。何年先にもお届けできる美味しさにたどり着くまで、試行錯誤を重ねる。そうした努力で、三世代、四世代にわたって愛される伝統として継がれていくのだ。

同じ場所で、同じ美味しさを

八ッ橋の定義は、「米粉と砂糖をあわせたものに、にっきで香りづけをしたお菓子」。シンプルなだけに、素材の良さと職人の技術がストレートに表れる菓子といえる。

そんな八ッ橋の誕生は元禄二年(1689年)、今から330年以上前に遡る。江戸時代前期、箏の名手であり数々の名曲を創出した近世筝曲の開祖・八橋検校を偲び、筝の形を模した干菓子を「八ッ橋」と名付けて聖護院の森の茶店で販売したのが始まりとされる。以来聖護院八ッ橋総本店は、同じ場所で、同じ美味しさを作り続けてきた。その間、カリッとした歯ごたえが心地いい従来の堅焼きタイプに加え、生八ッ橋や、つぶあん入りの生八ッ橋 「聖」などが誕生し、今につながっている。

菓子を通して、京の文化を担う一員となる

「せっかく京都で生まれ育ったのだから、伝統や文化に携わり、橋渡し役となって京都の魅力を世界に届ける仕事をしたい」と考え、聖護院八ッ橋総本店に入社したという小鯛さん。接客などを通して海外への直接的な窓口となることに、誇りを感じていると語る。「私と同じように、府外からも、当社が理念として掲げる『味は伝統』という想いに共感して入社したという人は多いんですよ」。

金閣寺や清水寺をはじめ、京都の名だたる寺社と深いつながりをもつ聖護院八ッ橋総本店だけに、神事や祭事に関わるのは日常だ。お茶のお席などへ菓子をお届けする際には「菓子を通して京都の文化を担う一員なのだ」と、改めて実感するという。

数十年先も、変わらず求められる味を

八ッ橋の生地をひとつひとつ手で丸めて焼き上げた「カネ―ル」は、時代に合わせて進化した代表格。スプーン代わりにして、ソフトクリームをすくって食べる観光客も。シナモン(にっき)フレーバーが大好きな外国人にも好評だ。スタイリッシュで、カクテルに添えればバーカウンターでもよく映える。2011年には、新ブランド「nikiniki」が誕生。八ッ橋とシナモンをベースとした、和や洋の枠にとらわれない新感覚の菓子として注目されている。

だが、スタイルは進化しても、本質は変わらない。

「おばあちゃんに、『聖護院さんの八ッ橋を買ってきて』とお願いされて来ました」と、笑顔で店を訪れる修学旅行生。数十年後、彼らがその孫に「聖護院さんの八ッ橋を買ってきて」と、同じ願いを託す姿を思い描いて。聖護院八ッ橋総本店は、美味しさという伝統を未来に継ぐべく、京都の地に在り続ける。

聖護院八ッ橋総本店 本店
〒606-8392 京都府京都市左京区聖護院山王町6
075-761-5151
9:00~18:00(元旦は除く)

https://shogoin.co.jp/

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